発達障害とは、生まれつきの脳機能障害です。
「発達障害」は、大きく分けて次のようなものに分類されます。
●ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害)
●ADHD(注意欠如・多動性障害)
●LD (学習障害)/ SLD(限局性学習症)
ASD(自閉スペクトラム症)とは
対人関係が苦手、こだわりが強い(興味・関心が限定される、特定の行動を繰り返す)などの特徴がある発達障害です。
これまで自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などと呼ばれてきた障害のグループがASDとしてまとめられました。
ASDには以下のような特性がみられます。
①社会性の難しさ
・非常識と思われる行動をする
・暗黙のルールがわからない
・協調性が少なく、人とうまく関われない
②コミュニケーションの難しさ
・話が一方的になりがちで言葉のキャッチボールが苦手
・人の話を聴けない
・表現が独特
・感情が表情に出にくい
・言葉通り受け取ってしまう
③想像することの難しさ
・相手の気持ちを読み取るのが苦手
・興味の偏り、こだわりが強い
・臨機応変な対応、予定の変更が苦手
・複数処理が難しい
・気持ちの切り替えが苦手
ADHDとは、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」とも呼ばれ、
不注意(集中力がない)
多動性(じっとしていられない)
衝動性(思いつくと行動してしまう)
といった症状が見られる障害です。
症状の現れ方によって不注意優勢型、多動・衝動優勢型、混合型に分類されます。
ADHDの子は、その特性により授業中に集中することが難しかったり、忘れ物が多いなど、叱られることが多くなりがちです。
叱られることが増えていくと、自信を失い、追い詰められてしまうということもあるので、特性を理解した対応をすることが大切です。
以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2013年に刊行された診断基準DSM-5で、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」に変更されました。
不注意優勢型
「不注意」の特徴が強く現れ、「多動・衝動」の特徴があまり強くないタイプ。
授業中に集中し続けることが難しい、忘れ物が多い、外からの刺激などですぐに気がそれてしまうなどの特徴があります。
逆に自分の好きなことについて考えたり取り組んだりしていると、話しかけられても気づかず、周囲の人に「無視をした」と誤解されることもあります。
多動・衝動優勢型
「多動性及び衝動性」の特徴が強く現れ、「不注意」の特徴があまり強くないタイプ。動いていないと気分的に落ち着かないだけでなく、無意識のうちに身体が動いてしまう、感情や欲求のコントロールが苦手などの特徴があります。授業中でも立ち歩く、指名されていないのに答えてしまう、などの特徴から、集団生活で落ち着きのなさについて指摘されることも多いです。
混合型
「不注意」と「多動性および衝動性」の特徴をともに満たしているタイプ。
学習障害(LD)とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものです。
その原因として中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。
学習障害(LD)は、主に
・読字障害(ディスレクシア)
・書字表出障害(ディスグラフィア)
・算数障害(ディスカリキュリア)
の3つがあります。
苦手分野以外の知的能力に問題が見られないことが多いため、学習障害は発達障害の中でも判断が難しい種類の障害です。
読み書きや計算能力は、ほとんどの子どもが就学前には学んでいません。
そのため、本格的な学習に入るまで判断が難しく、障害に気づかないことも少なくありません。
中にはその人の学習困難が発達障害によるものではなく単なる苦手分野だと判断され、大人になるまで気づかれないことも多くあります。
学習障害の人は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」という5つの能力の全てに必ず困難があるというわけではなく、一部の能力だけに困難がある場合が多いようです。
読む能力はあっても書くのが苦手、他の教科は問題ないのに数学だけは理解ができないなど、ある特定分野に偏りが見られます。
また、同じ「読む」ことの障害でも、ひらがなは問題なくても漢字が苦手など、その状態はさまざまです。
一方、読字と書字の障害など、複数が併せて現れる場合も多く見られます。