夜驚症


【夜泣き】はレム睡眠時に乳児が泣き出すことです。


【夜驚症(睡眠時驚愕症)】はノンレム睡眠時に、突然おびえたように叫び声や悲鳴、泣き声を上げ、目を見開いたり、起き上がったり、パニックをおこしてしまう症状が続いて、生活に支障がある状態をいいます。


2歳~6歳ごろの小児を中心にみられますが、ほとんどの場合は一過性です。

通常は、小学校高学年~思春期までに症状は消えていきますが、ごくまれに成人で発症することもあります。


夜驚症の直接的な原因は、ノンレム睡眠からの覚醒障害です。

ノンレム睡眠は、体は起きて脳が眠っている深い睡眠です。

夜驚症の症状はこのノンレム睡眠時、中途半端に覚醒してしまうことでおこります。


同じようにノンレム睡眠の異常である夢遊病(睡眠時遊行症)との関連が深いと考えられています。



【夜泣き】と違い、【夜驚症】は脳の一部だけが起きている状態で、ほかは眠っている状態ですので、声をかけたり、なだめようとしても反応がありません。


そのような状態がおこる原因についてはっきりとしたことはわかってはいませんが、


・睡眠から覚醒の機能が未熟

・遺伝

・心身のストレス

・睡眠リズムの乱れ

・恐怖体験

・薬の影響

・発熱


などがあげられています。





【夜驚症の診断基準(DSM-5)】


・睡眠から不完全に覚醒するエピソードが反復し、通常は主要睡眠時間帯の最初の1/3の間に起こり、以下のいずれかの症状を伴う。


・睡眠から突然驚愕覚醒するというエピソードの反復で、通常は恐怖の叫び声で始まる。


・各エピソード中に、強い恐怖と瞳孔散大、頻脈、呼吸促迫、発汗など自律神経系緊張の徴候がある。


・エピソード中、他の人達が落ち着かせようとしても反応がかなり悪い。


・夢の映像はまったく、または少ししか早期されない(例:たった1つの情景しか)。


・エピソードについての健忘がある。


・そのエピソードは、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。


・その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)による生理学的作用によるものではない。


・併存する精神疾患または医学的疾患では、睡眠時遊行症または睡眠時驚愕症のエピソードを説明できない。